ヨガと禅の世界
こんにちは!
ヨガをする人の中には、禅や仏教に興味をもつ方も多いです。
実際、インドで生まれたヨガと仏教は「同根」ともいえるほど縁が深かったりします。
以前、禅寺で「ヨガと禅はどう違うのか?」という質問に、和尚さんが「同じよ」と回答されていたのが印象に残っています。
もちろん、細かく見れば違いはたくさんありますが、本質的には同根であり「同じ」といえるのでしょう。
実際、ヨガの古典書「ヨーガスートラ」のなかには「禅」の語源となる言葉も出てきます。
今日は、ヨガの世界観をご紹介しつつ、禅との共通点を考えましょう。
「ヨガだけで十分です!」という方も、お読みいただくとヨガと禅の奥深い世界観から、ヨガをより楽しく感じていただけると思います。
Contents
ヨガの世界観
わたしたちにとって身近な「体を動かすヨガ」は、実は「ヨガ」という大きな木のごく一部、1つの枝にすぎないのをご存じでしょうか。
ヨガの古典書「ヨーガスートラ」には、サンスクリット語で「8本の枝」を意味する8支則と呼ばれるヨガを深めるためのステップ(段階)が書かれています。
- ヤマ
- ニヤマ
- アーサナ
- プラーナヤーマ
- プラティヤハーラ
- ダーラナ
- ディヤーナ
- サマーディ
最初の「ヤマ」「ニヤマ」は、以前「ヨガがすすめる10個のルールとは?」でご紹介した「やらない方がいいこと」と「やった方がいいこと」を指し、生活全般の心得をあらわします。
体を動かすヨガは3つめの「アーサナ」のことです。
4つめのプラーナヤーマは「呼吸法」を意味し、
5つめ以降は、「瞑想」の段階をあらわします。
つまり広い意味で、ヨガは体を動かすだけでなく、生活上の心のあり方から呼吸法や瞑想をふくめた一連の修練法といえるでしょう。
ヨガを深めるための順番
ご紹介した8支則ですが、順番がとても大切だと言われます。
8つめの「サマーディ」と呼ばれる至福の状態にいたるのがヨガの目的であり、そのためには1つめから順に7つめまでステップを経る必要があると考えるのです。
3つめの「アーサナ」以降に着目すると、取り扱うものが
体 → 呼吸 → 心
になっていることに気づかれるでしょう。
- 体を動かすヨガで「体」の準備をしてから…
- 「呼吸」をコントロールし…
- 静かに座って「心」をコントロールする…
つまり、目に見えて触れられる体からアプローチし、呼吸、心という順番でより微細なものに働きかけるアプローチなのです。
さらに、前のステップにあるものが後ろのステップの「準備」にもなります。
ということは、体の準備ができていないのに呼吸法や瞑想をおこなっても、あまり効果が得られない…といえるでしょう。
ヨガと禅の共通点
禅の世界には、「調身、調息、調心」という言葉があります。
体(姿勢)を整え、呼吸を整え、心を整えるという考え方です。
まさにヨガの8支則と同じ順番。
禅の世界でも、いきなり心にアプローチしません。
まずは体を整え、呼吸を整えることでようやく心にアプローチできるのです。
ちなみに、8支則でご紹介した7つめの「ディヤーナ」というサンスクリット語は、「禅」の語源として知られています。
「ディヤーナ」とは心が調和し、深い瞑想状態にあるという意味。
ヨガと禅は、目指すところや基本的な考え方が共通しているといえます。
機会があれば、禅寺を訪れ座禅してみるのも面白いでしょう。
体から呼吸、呼吸から心という順に心身をすこやかに整えていきたいですね。