右脳の世界は「ワンネス」
こんにちは!
みなさんのなかには、ヨガと関連して「瞑想」にご興味のある方も多いかもしれません。
瞑想ですべてのものと溶けあうような「ワンネス」の感覚を味わってみたいと思われないでしょうか。
ここ数日「奇跡の脳」という、脳卒中になった脳科学者の体験がかかれた本を読んでいます。
筆者は脳卒中で左脳の中央からダメージを負い、左脳の機能が徐々に低下していきます。
左脳の機能がストップし、右脳のみがはたらく世界で「ワンネス」の感覚を味わうのですが…
それは自分自身が「流体」になったかのようで、宇宙との一体感を感じられる心地よい世界だったのだとか。
もともと脳科学者の筆者。
脳のどのあたりにダメージを負い、機能がどう低下しているか自覚し記録にとどめていて、とても興味深いです。
今日は筆者の体験談をもとに、右脳と左脳、そしてワンネスの世界を考えてみましょう。
右脳がはたらく「ワンネス」の世界とは?
脳卒中で左脳にダメージを受け、右脳がはたらく世界を体験した筆者は、すべてのものと一体であるかのような「ワンネス」の世界を体験しました。
どんな感覚だったか、筆者の言葉を引用してみましょう。
なんとも奇妙な感覚。からだが、固体ではなく流体であるかのような感じ。
まわりの空間や空気の流れに溶け込んでしまい、もう、からだと他のものの区別がつかない。(中略)
左脳の分析的な判断力がなくなっていますから、わたしは穏やかで、守られている感じで、祝福されて、幸せで、そして全知であるかのような感覚の虜になっていました。
(中略)
肉体の境界を感じることができず、過去・現在・未来を振り分けてくれる体内時計も働かず、わたしは、自分が「流れている」ように感じました。
「奇跡の脳」より引用
自分自身を「流体」のように感じ、周囲との境界線がわからない状態。
それでいて心地よく、多幸感にあふれる感覚…
右脳の世界で感じる「ワンネス」の心地よさが語られていますね。
一方、左脳の機能が低下していき、文字が認識できなくなるプロセスも語られています。
わたしの脳はもはや、文字を文字として、シンボルをシンボルとして、地を地として判別することができませんでした。
「奇跡の脳」より引用
それどころか、名刺は小さな画素を寄せ集めた、抽象的な織物(タペストリー)のように見えたのです。
名刺の電話番号から助けを呼ぼうとするシーンですが、左脳がはたらかず文字や数字を認識できない状況におちいります。
その後、筆者はなんとか力をふりしぼり助けを呼び、一命をとりとめました。
「ワンネス」に脳の回路をつなげる
脳卒中のプロセスでワンネスを体験した筆者ですが、ごくふつうの人でも、左脳のはたらきを弱めることでワンネスの境地にいたれるといいます。
深い心の平和というものは、いつでも、誰でもつかむことができるという知恵をわたしは授かりました。
涅槃(ニルヴァーナ)の体験は右脳の意識の中に存在し、どんな瞬間でも、脳のその部分の回路に「つなぐ」ことができるはずなのです。(中略)
わたしが脳卒中によって得た「新たな発見」(insight)は、こう言えるでしょう。
「頭の中でほんの一歩踏み出せば、そこには心の平和がある。そこに近づくためには、いつも人を支配している左脳の声を黙らせるだけでいい」
「奇跡の脳」より引用
左脳の声を黙らせる…なるほど!と思われないでしょうか。
わたしたちは、一日中、自分自身とおしゃべりをしています。
- 「この後、あれをやって、これをやって…」
- 「お醤油がきれたから、買っとかないと…」
- 「あれ?なんか嫌な気分にさせちゃった?」
などなど。
こういった「心の声」は左脳によるもので、わたしたちを常に支配しているといえます。
なぜなら心の声がなくなる機会はめったにないからです。
しかし、筆者は「左脳のおしゃべり」がわたしたちの人生を支配する一方で、「右脳の安らぎの世界」があるのを体験しました。
そして、すべての「感覚」は脳で知覚されるからこそ、「自分次第で選べる」と気づきます。
自分の脳以外には、誰もわたしに何かを感じさせる力など持っていないことを悟ったのです。
外界のいかなるものも、わたしの心の安らぎを取り去ることはできません。それは自分次第なのです。
自分の人生に起きることを完全にコントロールすることはできないでしょう。でも、自分の体験をどうとらえるかは、自分で決めるべきことなのです。
「奇跡の脳」より引用
つまり、わたしたちを支配しているかのような「左脳のおしゃべり」やそこから得られる感覚は、自分で選べるということです。
そして、右脳が優位にはたらく「涅槃の境地」は「つくりだす」ものではなく、わたしたちの中に「ある」といえるでしょう。
どのような感覚を選ぶかは自分次第と考えると、おもしろくないでしょうか。
そして、すでに「ある」ワンネスの世界に脳の回路をつないでいきたいですね。
ご興味のある方は本を読んでいただくか、youtubeで筆者が講演するTEDトークをご覧いただければと思います。