「オイル」の3つの効用
こんにちは!
年末まであと少し。今年は「大掃除」を今のうちから、少しずつはじめようと計画しています。
掃除本を読むと、たくさんの「コツ」を学べます。
たとえば、ガスコンロにこびりついた汚れ。
実は揚げ物をした後、飛びちった油があたたかいうちに、布でさーっとふくと、ガスコンロが簡単にキレイになるそうです。
力まかせにゴシゴシこするとコンロを傷めてしまいますが、飛びちった油を利用して元の汚れまでキレイに掃除できるのです。
実は、わたしたちの体もこれと同じ。
こびりついた汚れをゴシゴシと力まかせにとろうとすると、体に大きな負担がかかります。
だから、汚れは柔らかくして浮かせてからとる…とインドの伝承医学「アーユルヴェーダ」では考えます。
そして、その役割を果たしてくれるのが「オイル」!
なぜなら、汚れは脂溶性だからです。
油性の汚れを「オイル」という油性のクリーナーで浮かせてから除去するのです。
ガスコンロの汚れと同じ仕組みですね♪
今日はこの時期にうれしい「オイル」の3つの効用と注意点について、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」的な観点からお話しします。
「オイル」は、
- 汚れを浮かせる
- 風のエネルギー(ヴァータ)をととのえる
- 自分とつながる
の3点の効用があります。
- 「オイルマッサージって、何がいいの?」
- 「オイルで太ったり、生活習慣病になったりしない…?」
と思われる方に特におすすめです。
オイルの効用を理解できると、積極的にとりいれられるようになるでしょう。
オイルの効用1.汚れを浮かせる
わたしたちは毎日、顔や体を洗って皮膚の汚れをとりますが、体の内側を洗うことにはあまり意識をむけないのではないでしょうか。
汚れは外側の皮膚にだけたまるものではありません。体の内側にも汚れはたまっていきます。
1年放置した「換気扇の汚れ」のように、多くはこびりついて、かたくなっています。
かたまった汚れをやわらかくして、浮かせるのが「オイル」の役割。
オイルは
- 「オイルマッサージ」として皮膚にぬりこむ
- 「食事」としてとりいれる
のどちらでも効果があります。
この時期は、あたためる力をもつ「ゴマ油」が特におすすめです。
食事の場合は、一般的に使われている焙煎された「ゴマ油」を、
「オイルマッサージ」として体にぬる場合は、太白ごま油(焙煎していない、香りがないもの)がよいでしょう。
いずれもスーパーで手に入ります。
なお、湿疹など皮膚にトラブルのある方は、ココナッツオイルの方がよいです。
なぜならゴマ油は肌をあたため、症状を悪化させてしまう可能性があるからです。
直接肌にぬらない「食事」であっても、ゴマ油を多用しない方がいいでしょう。
オイルの効用2.風のエネルギーをととのえる
以前も書きましたが、今の時期は「ヴァータ」という風のエネルギーが乱れやすい時期。
「風」は、「軽くて冷たい」性質があります。
逆に、オイルは「重い」性質。オイルをあたためると「重くてあたたかい」性質になります。
「風」の性質(軽くて冷たい)と逆の性質(重くてあたたかい)でケアすることで、風のエネルギーを鎮静できると「アーユルヴェーダ」では考えます。
「風」のエネルギーが乱れる(増える)と、以下のような不調が発生しやすくなります。
・冷え性
・便秘
・睡眠のトラブル
・生理痛
・体の痛み
・不安、心配症
・恐怖感
もちろん個人差はありますが、晩秋から初冬にかけて、これらの症状が出やすいと考えられています。
なぜなら、季節的に風のエネルギー(ヴァータ)が乱れやすい時期だからです。
だからこそ、この時期に「あたたかいオイル」をとりいれていただけると、とても効果的。
あたためたオイルでマッサージしてもいいし、食べ物でもOKです。
スープにオイルをちょい足しするだけで、簡単にオイルをとりいれられます。
オイルの効用3.自分とつながる
ここでは特に、「オイルマッサージ」の効用として「自分とつながる」話をします。
インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」では、オイルマッサージのことを「スネーハン」といいます。
サンスクリット語で「スニフ」という動詞が原形になるのですが、主な意味は「愛する」。
「スネーハン」を直訳すると「愛すること」という意味なのです。
「スネーハン」には他にも「なめらかな」「オイルで満たされた」などの意味もありますが、
オイルマッサージに「愛すること」という意味があるのはとても興味深いと感じています。
オイルマッサージは家族や友達にもしてあげられるし、自分に対してもできます。
それらを「愛すること」ととらえると、また世界が違って見えてこないでしょうか?
つまり、自分にオイルマッサージすることは、自分を愛すること。
「自分を愛する」とは、自分をいたわり、自分の感情を受けとめること…でもあり、
「自分をより理解する」「自分とつながる」ともいいかえらえると感じています。
みなさん、お忙しいと思いますが…「体が痛いときだけ」でなく、ぜひ日常的にオイルマッサージをして「自分を愛する」時間をとっていただけると素敵です。
なお、「アーユルヴェーダ」の古典には、オイルマッサージのやり方について細かく解説されていません。
なぜならマッサージ方法よりも、オイルをぬることの方が大切だと考えるからです。
だからマッサージ方法がわからない方も、ただ、あたためたオイルを手にとって、体にすりこむだけでOKなのです。
実際、インド人は朝にオイルをさ~っとすりこんで、お湯で流すだけだと聞きます。
一応、手技も知りたい!という方にむけて、アーユルヴェーダ医の蓮村先生が書かれたこちらの本をご紹介しておきます。
全身のマッサージ方法について「アーユルヴェーダ」的な観点から解説されている本です。
「オイル」で注意してほしいこと2点
最後に大切なこととして、
- オイルをとりすぎない
- オイルマッサージの後は、あたためる
の2点をまもっていただければと思います。
まず食事では「オイルをとりすぎない」ようお願いします。
オイルはわたしたちが生きていくうえで欠かせないものですが、とりすぎれば害になります。
サクサクの揚げ物(トランス脂肪酸)が体に悪いというのは、周知の事実。
くれぐれも、とりすぎや質の悪い油には注意されてください。
そして2点目。オイルマッサージの後は、
- お風呂にはいる
- シャワーをあびる
- 電気あんかなどで、あたためる
など「あたためる」作業をはさんでいただけると尚よいです!
「オイル」で汚れを浮かせることはできますが、排出するのはまた別の話。
あたためて、発汗することでデトックス(汚れを排出する)につながると考えるのです。
時間があるならお風呂に入ってあたたまる「オイルバス」がおすすめです。
ちなみに、オイルは体がベタベタになるほどの量をぬりこまなくていいですよ!
オイルをうす~くぬるだけだと、お風呂場もそんなに汚れません。
なぜなら皮膚がオイルを吸収してくれるからです。
「体にいいけど、後の掃除が大変…」だと続かないと思います。
たっぷりのオイルをぬりこんでもらうのは、サロンなどでプロにまかせて、セルフケアは手軽にやっていただくのがおすすめです。
忙しい12月、風のエネルギー(ヴァータ)とうまくつきあって、楽しくのりきっていきましょう。