2,000年前から語られる「ギー」の魅力

こんにちは!
昨日は「オイル」の3つの効用についてお話ししました。
今日は、オイルのなかでも食用に使う「ギー」をとりあげたいと思います。
「ギー」ってご存じでしょうか?
「ギー」は、生乳を沸騰させてから弱火で長時間煮つめ、水分と不純物を取りのぞいたもの。
香りや味は「バター」に似ています。
ここ数年、コーヒーに「ギー」を入れる健康法がはやっているようで…ちょっとした注目をあびている「ギー」。
今回は、「ギー」の効果について、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」の古典書「チャラカ・サンヒター」に書かれている内容をご紹介します。
「チャラカ・サンヒター」は約2,000年にわたり、医療に利用されてきた名著。
実はこの「チャラカ・サンヒター」に、「すべてのオイルの中で、ギーが最高!」と書かれているのです。
そんなわけで…
- 「ギー」が最高なのはなぜ?
- 「ギー」のメリット
- 「ギー」のデメリット
- 「ギー」の活用方法
についてお話しします。
いいオイルを使いたい方、「ギー」にご興味のある方はぜひご覧ください♪
「ギー」が最高なのはなぜ?
古典書「チャラカ・サンヒター」には、すべてのオイルの中で「ギー」こそが最高だと書かれています。
なぜなら、ギーは自分の特性を失うことなく、相手の特性も受け入れるからです。
「相手」とは、混ぜ合わせる薬味や食材のこと。
わたしたちは、食事にオイルを使うとき、何かと混ぜあわせます。
たとえば炒め物をつくるとき、オイルを熱して、薬味やスパイス、食材を混ぜ合わせます。
「ギー」はこれらの食材の「特性」を維持しつつ、自分の特性も変えないのです。
だから「ギー」は薬用にもよく使われます。
「ギー」に他の薬剤を加えても、それぞれの特性を失わないからです。
「それって当たり前じゃないの?」と思われるかもしれないけれど、そうではありません。
たとえば、「ゴマ油」は相手を受け入れて、自分の性質を変えます。
ゴマ油は「温性」であたためる性質があるのですが、冷たい質をもつ「ビャクダン」を加えると、なんと冷性に変化するのです。
つまり、「相手を受け入れつつ、自分を変えない」のがギー。
「相手を受け入れて、自分を変える」のがゴマ油。
どちらが良い、悪いではないですが…人間関係みたいで、ちょっとおもしろいなあ…と思います。
「ギー」のメリット
アーユルヴェーダの古典書「チャラカ・サンヒター」に書かれている「ギー」のメリットは
・「風」と「火」のエネルギーをととのえる
・余分な熱を取りのぞく
・記憶力、知力をたかめる
・血液や生殖組織、オージャス(生命エネルギー)をサポート
・柔軟性をたかめる
・声や血色をよくする
・失神・精神錯乱・人工毒に効果的
・痛みをとりのぞく
・不運をとりのぞく
「チャラカ・サンヒター」より引用
…など数えきれない効力があるのだとか。
「不運をとりのぞく」など「ん…?」と思うものがふくまれるのが、古典ならでは。
「ギー」は縁起のいいものとしても知られています。
ここでは一部の紹介になりますが、効力は数えきれないほどあり、特に古いギーの方が効力をもつのだとか。
もちろん酸化しないように密封されていると思いますが、ねかせた方が効果が増すなんて、日本の「お味噌」みたいですね。
「ギー」のデメリット
古典では「オイルのなかで最高!」といわれるギーですが、実は現代人にとってデメリットになりそうなことも書かれています。
それは、「脂肪を増大させる」こと!
脂肪が増えることは、古典ではメリットの1つとして書かれています。
もちろんやせている方にとっては「メリット」になるけれど、ダイエットしたい方にはデメリットといえるでしょう。
とはいえ、「脂肪」は誰にとっても一定量は必要です。
実際「ギー」にはデメリットを上まわるメリットが数々ありますので…やせたい方は、使う量や頻度をひかえめにされたらいいと思います。
たまにしか使わないのに太る…ということは、ないでしょう。
なお、「ギー」は薬用にも使われます。持病をお持ちの方は医師に相談されてからお使いください。
「ギー」の活用方法
「ギー」は料理全般に使えます。
いつものオイルをギーに替えて使ってみてください。
炒め物にしても、炊き込みご飯にしてもOK!
バター代わりにパンに塗ってもおいしいですよ。
ちなみに、日本では「バター」を煮つめて濾したものが手作りの「ギー」のレシピとしてよく紹介されていますが…
本来の製法とはまったく異なる「別物」なので、あまりおすすめできません。
ヨガの師であるプラブジは、食用以外で、ギーランプにするといいと話されていました。
ギーを燃やすと、酸素が増えるのだとか。
ギーランプは、「オイルランプ」のオイルをギーにして燃やすということ。
「オイルランプ」とは、こういうものです↓

<ギーランプの作り方>
- 金属の小さいお皿に「ギー」を入れます
- 脱脂綿をこよりのように棒状にして、ギーにたらします(先っぽが皿のふちにかかるように置いてください)
- 2の脱脂綿の先っぽに火をつけるとランプになります。
ほどよい金属のお皿がない方はこちらでオイルランプを購入できます。
毎日のように燃やされたいなら、コットンのしんも用意しておくと便利です。
さて、今日はアーユルヴェーダの古典書「チャラカ・サンヒター」に書かれている「ギー」の良さを中心にお話ししてきました。
わたしたちが今なお使うギーについて、2,000年以上前の本に言及があるとは、ロマンを感じますね。
「ギー」を適度にとりいれて、快適な心身をつくっていきましょう。