神様にささげる「神ミキ」の話
こんにちは!
サツマイモがおいしい季節になってきました。
イモが大好きなわたしには、うれしいかぎり!
サツマイモでつくる発酵飲料「ミキ」の季節でもあります。
「ミキ」とは、奄美大島の伝統的な発酵飲料で…
お米とサツマイモと水でできています。
ミキのレシピはこちらから。
腸内環境をととのえ、体を元気にしてくれる健康効果だけでなく
酸味と甘味がバランスした「ミキ」は、純粋においしい!です。
ところで、奄美大島では、人々が飲用するための「ミキ」と、
神様にささげるための「神ミキ(かみみき)」の2種類があるのをご存知でしょうか?
今日は、「神ミキ」についてご紹介しましょう。
Contents
「神ミキ」と口噛み酒
「ミキ」の語源は、「お神酒(おみき)」といわれます。
もともとは、神様にささげる発酵飲料といえるでしょうか。
神様にささげるための「神ミキ(かみみき)」は、
噛みミキ(噛み+お神酒)
が元の意味だったそうで…
つまり、「口噛み酒(くちかみざけ)」を神様にお供えしてきたそうです。
「口噛み酒(くちかみざけ)」とは、人がお米を噛んで吐き出したものを
甕などに入れて発酵させる手法で、世界各地の伝統的な文化に存在したのだとか。
生のお米や炊いたご飯を噛んでお酒にする場合もあれば…
薬草など植物を噛んで発酵させるケースもあると聞きました。
奄美大島のオジイ・オバアの中には、「ミキ」と聞いて
「口噛み酒」を想起する方も実際にいらっしゃるとのこと。
口噛み酒がいつ廃止されたのかはわかりませんが、近代になって、
衛生面の問題などが指摘されるようになってからのことなのでしょう。
「神ミキ」である「口噛み酒」の代わりとして、
お米とサツマイモを使って発酵させるようになったのが現在の「神ミキ」なのだそうです。
「お米」は「口噛み酒」の原料でもあるので納得できますが…
なぜ「サツマイモ」が代替となったのかは、島の方もわからないのだとか。
島でたくさんとれて、発酵の手助けになるもの…として、
白羽の矢がたったのかもしれませんね。
神様にささげる、特別な「神ミキ」
というわけで、現在の「神ミキ」は、わたしたちが飲用する「ミキ」と同様に
お米とサツマイモを原材料としています。
神様にささげる「神ミキ」と一般的な「ミキ」の違いは何かというと…
作り方がことなります。
今回の旅を主催してくれた島人が、ユタ神様から教わった「神ミキ」の作り方を
伝授してくれました。
製法は公開できませんが、「神ミキ」は通常の「ミキ」よりも…
- 精妙なエネルギーをとりいれて
- 自然の力を信頼し、委ねる作り方
といえるでしょうか。
「神ミキ」は、神様にお供えしたあと、おさがりとして人間がいただきます。
「ミキ開き」といって、発酵したミキをあけると…
シュワシュワと音をたてて、ミキが光輝いて見えたのでした。
いただいた「神ミキ」は、カルピスのような爽やかな口当たりで、芳醇な香りにうっとりします。
ミキの世界、奥深し…!です。
作り方はもちろんのこと、作る人や原材料、その場の環境によって味が変わることに驚かされました。
発酵食品は「生き物」。
目に見えない生き物たちと調和し、この地球を楽しみたいですね。