「ムッタッパ」に祝福された夜
こんにちは!
先日は、南インドのド派手な神様「ムッタッパ」についてご紹介しました。
「ムッタッパ」は、インドの3大神様「シヴァ神」が狩人の形としてあらわれたお姿だと考えられています。
え?「なまはげ」に似てる…?
外見の系統としては近いかもしれませんが、「ムッタッパ」はれっきとした神様。
人々がもつネガティブな側面を打ち砕き、幸せになれるようサポートしてくれます。
今日はそんな「ムッタッパ」から祝福を受け、その踊りに度肝をぬかれた話をしましょう。
︎「ムッタッパ」から祝福を受ける
南インドに滞在中のある夜、「ムッタッパ」の儀式がはじまると聞いて、滞在先からほど近いお寺にむかいました。
門から入って、お堂の前に人だかりが見えますね。
人だかりをかきわけると…お堂の前に「ムッタッパ」の後ろ姿が見えます。
そう、頭にかぶりものをして、赤いスカートのような巻物をはいて座っている方こそが「ムッタッパ」です。
「ムッタッパ」は神様ですが、便宜上、ここでは神様の御霊がおりた「人」を「ムッタッパ」とよびます。
「ムッタッパ」は黄色い顔に、白いヒゲをはやしていました。
お腹も黄色く染めて、美しい模様が描かれています。
足輪・腕輪などキラキラした装身具を身につけ、頭に花がたくさんつまった兜をかぶって座る姿は、まさに「異形の者」。
そんなド派手な「ムッタッパ」の近くにいくと、1人ひとり祝福を受けられます。
祝福をお願いすると、「ムッタッパ」はわたしの手をとり、耳元で「ドゥルルルルルルル‥‥ムッタッパ!」とおっしゃいました。
「ドゥルルルルルルル…」の部分は、地元の言語なのかマントラなのか定かではありません。
ご一緒したドクターの解説によると、わたしの「健康と富」を祈ってくれたそうです。
つづいて、わたしの頭に手を置いて、また「ドゥルルルルルルル…ムッタッパ!」とおっしゃいます。
語尾に「ムッタッパ」とつくのが、かわいらしいですね。
「ムッタッパ」から祝福を受けるときに、熱心に何かを相談しているインド人もいました。
ムッタッパは「ドゥルルルルルルル…」というマントラを唱えるだけでなく、
相談事にたいしてもアドバイスをされている模様。
地元の人の生活に根づいた神様ならではでしょうか。
「ムッタッパ」のダンスは大音量
しばらくすると、にぎやかな音楽とともに「ムッタッパ」のダンスがはじまります。
「ムッタッパ」は剣と槍をもち、地面に何かを描いたり、弓を引いて弓矢を落としてみたり…何か物語を演じているようです。
物語の合間には、足を小刻みに動かすダンスをしながら、お堂の前を大きく動いていきます。
足輪の鈴がにぎやかに音を立てて、注目を集めていました。
「ムッタッパ」は踊りつづけながらも、人々を祝福するのを忘れません。
ココヤシのワインを分けたり、聖水をかけたり、頭に手をあてたりしていました。
まるで観客参加型の大衆芸能のような感じでしょうか。
ド派手な衣装と目がはなせないダンス、にぎやかな音楽にすっかり魅了されます。
クライマックスは大音量。
シャンシャンシャーン!と勢いのある音とともに、あらゆる楽器が大きな音をかなで、ダンスも一段と激しさをまします。
「ムッタッパ」は、わたしたちの方に向かってきて、兜につまった「花」を何本かとって渡してくれました。
本日2度目の祝福につつまれ、ダンスは終わりをむかえたのでした。
「ムッタッパ」が兜をぬいだら…?!
さて、音楽がなりやむと、今夜のパフォーマンスは終了。
人々が帰り支度をはじめるとともに、「ムッタッパ」は兜を完全に脱ぎます。
兜を脱いだら…
髪の毛が後退した、くたびれた表情のオジサンがでてきました。
かなり激しいダンスでしたから、さぞお疲れでしょう。
全身を装飾し、頭に兜をかぶってフル装備されていたときのバリっとしたエネルギーとは全然ちがいます。
兜をぬぐプロセスが、ふつうの人に引き戻る役割を果たしているのかもしれませんね。
南インドのド派手な神様「ムッタッパ」からいただいたお花はいい香り。
しばらくお部屋に飾って楽しんだのでした。