ヨガとアーユルヴェーダの「浄化法」

浄化法

こんにちは!
今日はkindle本企画の続き(バックナンバーはこちら)から、わたしが甲状腺の病気「バセドウ病」になり、インドでどのような治療を受けたか、具体的な治療法を中心にお話しします。

先日、「オイルの3つの効果」の記事でお話ししたように、
わたしたちの「汚れ」がたまるのは、体の外側皮膚だけではありません。

誰でも、体の内側汚れがたまっていくのです。

「換気扇」を1年放置すると汚れがこびりつくように…
体のなかの汚れもどんどんかたくなります。

体にこびりついた汚れ柔らかく浮かせてからとりのぞくのが、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」の考え方。
そして、心身の汚れを集めてデトックスする効果的な手法が「パンチャカルマ」と呼ばれる浄化法です。

実は「パンチャカルマ」は、病人のためだけの治療法ではありません。
健康な人でも年に1回くらいこの浄化法をうけるとよいと言われています。

なぜなら、心身にたまった汚れをとりのぞき、肉体的・精神的な浄化若がえりをはかれるからです。
まさに年末の「大掃除」的な役割ですね。

実は、「ヨガ」にもこの「パンチャカルマ」と似た浄化法があるのをご存じでしょうか。
みなさん、写真や動画などで見たことがあるかもしれません。

ヨギ(ヨガをする人)たちが、

  • 鼻の穴に紐(細い棒状)を入れて、口から出す
  • 片方の鼻の穴からお湯を入れて、もう片方の鼻から出す
  • 細長い布を口から少しずつ飲み込んでいく

これらは「ヨガクリア」と呼ばれるヨガの浄化法で、体の内側の汚れをとりのぞきます。
たとえば、鼻に紐を入れて口から出すのは、鼻と口をつなぐ器官にたまった汚れをとりのぞいているのです。

ヨガの浄化法と比較すると、「アーユルヴェーダ」の浄化法である「パンチャカルマ」はよりマイルドといえるでしょう。

少なくとも、ヨガの修練をつんでいない「ごく普通の人」でも受けられるし、心身の負担も比較的少ない…と思います。
なぜなら、こうした浄化法を「本番」とすると、前後に「準備期間」「アフターケア」がきちんと用意されているからです。

今日は、健康な人にも有効な「アーユルヴェーダ」の浄化法「パンチャカルマ」をテーマに

  • 「パンチャカルマ」とは?
  • 「パンチャカルマ」の3つの手順
  • 実際に「パンチャカルマ」を受けてみて

についてお話しします。

「浄化法」にご興味のある方、デトックスされたい方はぜひご覧ください♪

「パンチャカルマ」とは?

「パンチャカルマ」「パンチャ」はサンスクリット語で「5つ」「カルマ」「治療法」という意味。
直訳すると「5つの治療法」となります。

どんなことをするか?をまとめたのがこちら↓

1.「経鼻法(ナスヤ)」は、あおむけの状態で、鼻から薬(オイルや煎じ薬)を入れます。
薬がしっかり入ったら起きあがり、口から薬液が出てきたタイミングで吐き出します。
この治療は、首から上(顔、頭)にたまった汚れ(毒素)をとりのぞいてくれると言われています。

2.「催吐法(ヴァマナ)」は、口から薬を飲んで、嘔吐によって吐き出します。
主に胃や肺、胸にたまった汚れ(毒素)を排出し、「水」と「地」のエネルギーをととのえます。

3.「瀉下法(ヴィレーチャナ)」は、口から薬を服用して、お腹をくだして便を出します。
主に小腸の毒素をとりのぞき、「火のエネルギー」をととのえます。

4.「浣腸法(バスティ)」は、肛門から薬(オイルや煎じ薬)を注入して保持したあと、下痢により排出する方法です。
大腸や直腸の毒素をきれいにし、「風のエネルギー」をととのえます。

5.「瀉血法(ラクタ・モークシャナ)」は、汚れた血がたまった患部を「ヒル」に吸ってもらい、血液の浄化をはかる方法。
「ヒル」は専用に飼育されているそうです。
特殊な皮膚病などにもちいられる治療で、わたしは受けたことがありません。

ヒル

いずれも、ドクターが患者の状況に応じて、治療法を決めます。

「パンチャカルマ」の3つの手順

「パンチャカルマ」には以下の3つの手順があります。

  • 前処置(準備)
  • 本処置(本番)
  • 後処置(アフターケア)

「前処置」は、準備期間のこと。
「油剤法」ともいわれ、体内のかたくこびりついた汚れを柔らかくして浮かせる期間です。

  • 外側からオイルを入れる(オイルマッサージなど)
  • オイルを内服する(薬用ギーなどを飲む)

外側と内側からオイルをしみこませることで、体の汚れや「つまり」を浮かせて一ヶ所にあつめるアプローチです。

汚れが浮き上がり、一ヶ所に集められたところで「本処置」に入ります。
いよいよ本番!

先ほどの表でご紹介した、ちょっと激しい手法を実際におこなっていきます。
嘔吐したり、下痢したり、ヒルに血を吸われたり…これらは集められた汚れを排出するための方法です。

「本処置」(本番)がおわったら、「後処置」です。
「後処置」アフターケアのような役割。

汚れがとりのぞかれキレイになった体に、体調にあった「食事」「薬」を与えて、しっかりケアしていきます。
この期間は、体の組織を新しくつくりかえるとても大切な期間と言われています。

薬は天然の薬草からできている

なお、アーユルヴェーダにも薬草でできた「薬」があり、さまざまな病気の治療に用いられています。
しかし、「前処置」の段階からいきなり薬を服用しません。

「前処置」で汚れを浮かせて集め、「本処置」排出できたタイミングから、主に薬の服用がはじまります。

汚れた水牛乳をそそいでも、白く染まらないように…汚れた体を入れても十分な効果はありません。
汚れをある程度とりのぞいてから、ようやく薬の服用がはじまります。

「パンチャカルマ」を受けてみて

「パンチャカルマ」は最短で10日間くらいから受けられます。
わたしの場合は、すでに「病気」の状態だったので、約50日間インドに滞在してこの「パンチャカルマ」を受けました。

約50日間のうち、最初の2~3週間はまるまる「前処置」でした。
そのあと、

  • 経鼻法(ナスヤ)・・・約1週間
  • 瀉下法(ヴィレーチャナ)・・・約1~2日
  • 浣腸(バスティ)・・・約2週間

をおこないました。

インド滞在中は「本処置」まで。
日本に帰ってきてから、ドクターの指示にしたがって「後処置」をおこないました。

「パンチャカルマ」を受けるのは今回で2回目ですが、期間中はよくも悪くも体調の変動が大きいと感じています。
何か気持ちいいことがあると、その次の瞬間、苦痛にもだえる…。

苦痛がとおりすぎるとスッキリ爽快になる…というように、幸不幸がくりかえし訪れるかのようです。

たとえば「前処置」は基本的に極楽です。
ありとあらゆるオイルマッサージを毎日受けられて、本当に気持ちいい!
「病気の治療」にもなるなんて、最高です。

シロダーラ
額にあたたかいオイルをたらす「シロダーラ」も前処置の1つ

一方で、オイルを内服するのはけっこう大変…。
人によって量はことなりますが、毎朝20~100ml薬用のギーをぐいっと飲みほすのは、なかなかつらいものです。

「本処置」は、下痢をするなど大変な面もあるけれど、わたし自身は浣腸法(バスティ)のたびに体調がよくなるのを感じました。
すっきり爽快になっていくのです(ふだん便秘してるわけではないですよ!)。
顔色がよくなっているのも実感できました。

「後処置」は地味だけど大切な期間。キレイになった体を作り変えるために、たくさん薬を飲み、食事に気をつけます。

わたしはこの期間に体調が悪化して大変だったのですが、オンラインでドクターのコンサルティングを受けつつ、薬を追加で送ってもらったりして、なんとかのりきりました。

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