実はすごい?!インドの医療事情

こんにちは!
今日はkindle本プロジェクトから、「インドの医療事情」についてお話ししたいと思います。

これまでの話(バックナンバーはこちらから)をご覧いただいて、

  • 薬を飲まない
  • 標準医療を受けない

わたしのことを「非常識」「変なひと」と思われている方も多いかもしれません。

とはいえ、「日本の常識」は必ずしも「世界の常識」ではないのです。
実際、「国民皆保険(かいほけん)制度」があり、安定した医療を安価に受けられる国はかぎられます。

日本医師会による「世界の医療事情」はこちらから。

では「インドはどうなのか?」というのが今日の本題。
みなさん、「インドの医療」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

  • 「日本より遅れている」
  • 「衛生面が心配…」

などネガティブなイメージが思い浮かぶ方も多いかもしれません。
実際そういう面もあります。

一方で、インドの医療の特徴は「選択肢の豊富さ」だとわたし自身は感じています。

「代替医療」の選択肢が多く、患者が医療を自由に選びやすいという点で、日本より優れている面もありそうです。

今日はそんなインドの医療事情をご紹介。

ご自身や身のまわりの大切な人が病気になったときに、どんな選択肢をとりたいと感じるか、改めて考える機会になればうれしいです。

インドの医療事情 ①医療は無料

医療は無料

インドでは、日本のように国民が全員加入する保険制度はありませんが、
インド人なら誰でも「国立病院」無料の医療を受けられます。

貧しい人もいつでも医療を受けられるのです。

でも、あまり便利なものではないと聞きます。
そもそも「国立病院」はたくさんあるわけではないです。

  • 遠方からバスを乗り継いで病院に行く
  • たくさんの人が集まるから、待ち時間が膨大
  • (受診を待つために)泊まるお金がない人は、病院の敷地内で野宿する

ということもあるのだとか。
さながら「野戦病院」のようだと、近隣に住む現地の方から聞きました。

さらに医療費は無料でも、入院中の食事代は別なのだとか。
栄養のある食事を十分にとれない患者やその家族をサポートするボランティア団体もあります。

そんなわけで、経済的にある程度豊かな人たちは、不便な「国立病院」ではなく、お金を払って街中にある私立の病院(クリニック)を受診するケースが多いそうです。

街中には、開業医のクリニックがたくさんあります。

わたし自身、2016年頃に首都のデリーにある「アーユルヴェーダ」のクリニックで診察を受けたことがありますが、日本円で300円くらいで診察してもらえました。
薬を入れても500円くらいだったと記憶しています。

待ち時間も少ないし、ある程度は清潔です。
日本人でも安心して医療を受けられるレベルの衛生水準でした。

インドの医療事情 ②選択肢が豊富

医療

「クリニック」にはいろんな種類があります。

  • 西洋医学
  • アーユルヴェーダ
  • ホメオパシー
  • ユナニ医学
  • シッダ医学
  • ナチュロパシー

などさまざま。「西洋医学」と並列して「代替医療」をあつかう病院がたくさんあるのです。

わたしはインド人と仲良くなったら、「病気のとき、どこで医療を受ける?」という質問をよくします。
人によって何を選ぶかは異なりますが、

  • 「西洋医学の検査結果をベースに、アーユルヴェーダで治療する」
  • 「早く治したいときは西洋医学の薬(アロパシー薬)で、それ以外は代替医療で」
  • 「ホメオパシーで様子を見つつ、アーユルヴェーダも併用するかも」

というように、いくつかの医療を併用するケースもめずらしくありません。

さらに、1つのクリニックに義理立てする感じもなさそうです。
「3つの病院を『はしご』して、お世話になる先生を決めた」という話も聞きました。

いわゆる「ドクターショッピング」ですね。
日本では「セカンドオピニオン」を受けるときに、医者に気を遣うと聞いたりしますが、インドでは気楽に病院を選択できそうです。

西洋医学の病院に行けば、検査結果として画像をレポートとしてもらえるのだとか。
それを元に、別の病院でセカンドオピニオン、サードオピニオンを好きなだけ受けられる仕組みのようです。

「ドクターショッピング」を繰り返すのが必ずしもいいとは思わないですが、医者に気兼ねなく、豊富な選択肢の中から選べるのは素敵なこと。
その時の状況に応じて「自分がいい」と思える選択肢を選べたら、治療の結果がどうであっても納得がいくのではないでしょうか。

医療の値段=快適さ

インドの医療事情

インドでも、「お金がある方が、いい治療を受けられる」という側面は残念ながらありそうです。
貧富の差が大きい国なので、とんでもないお金持ちもいます。

世界屈指の優秀な医師がスカウトされた、ものすごく医療レベルの高い病院もあるのだとか。
高級ホテルのようなたたずまいで最先端の治療を受けられる病院から、敷地内で野宿する人がいる国立病院までさまざまな選択肢があるのがインド。

全体的には、医療レベルの割に費用がリーズナブルということで、西洋を中心にインドで治療(手術)を受ける「医療ツーリズム」も近年増えているそうです。

「アーユルヴェーダ」の病院でも、治療費はさまざま。
同じ期間の治療でも、10倍以上の差があることもあります。

何の差かというと、主に「快適さ」の差だとわたし自身は理解しています。
費用が安いということは、快適さがあまりないということ。

たとえば安価なものだと、大部屋(ドミトリー)だったり、タオル類を自分して用意&洗濯しなければならないなど。
日本の病院と同様に、個室の方が当然費用は高くなります。

「アーユルヴェーダ」の病院は「国立」のものもありますし、経済的に苦しい人に向けて、お寺(アシュラム)が無償に近い形で治療を提供しているケースもあります。

それはつまり、医者を含む医療スタッフが無償ではたらいていたり、人々の寄付でまかなわれていたりするということ。
医療にかぎらず、インドは懐の深い国だと感じる瞬間です。

インドの代替医療市場

代替医療

インドで「代替医療の選択肢が多い」と言っても、「ほんとに?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、代替医療市場を数字で見ていきたいと思います。

インドには、AYUSH省という、日本の「厚生労働省」的な機関があります。
厚生労働省と異なるのは、「AYUSH省」が「アーユルヴェーダ」を含めた代替医療を扱う機関であること。

「AYUSH省」の発表によると、世界で「代替医療(伝統医学)」の市場は2020年に6,575億ドルを記録し、
インドでは2021年に206億ドル、2022年に233億ドルと推定されているのだとか(公式twitterより引用)。

インドの人口は約13.8億人。
233億ドルを13.8億人でわると、1人あたり年間で約16.9ドルを「代替医療」に費やすことになります。

インドは近年物価が急激に上がっているので適切ではないかもしれませんが、仮に1回あたりの診察費用が6ドル前後だとすると、
全国民が1人あたり1年に2~3回ほど「代替医療」の診察を受ける計算になります。

それくらい、日常的に代替医療が選択されているということです。

インド人の平均寿命が短いのは…?

インド人

ここまで読んでくださった方のなかには、

  • 「でも、インド人の平均寿命短くない?」
  • 「糖尿病が多いって聞くけど…?」
  • 「代替医療の効果がないからそうなってるのでは…?」

と疑問をもたれるかもしれません。
インド人の平均寿命は69.7歳。

日本人の84.4歳(いずれも2019年のデータ)と比較すると大きく下まわります。

しかし、それはまた別の問題といえるでしょう。
実際、インド人のくらしぶりをみて「食事をふくめた生活習慣に問題がある…」と感じるのはわたしだけではないはず。

毎日、大量の糖分と油を摂取する一般的なインド人をみていると、「生活習慣病にならない方が不思議…」と感じざるを得ません。
「代替医療のせいで寿命が短い」ということは決していえないと思います。

激甘スイーツ

余談になりますが、ヨガの師であるプラブジは白砂糖を一切とりません。

日本滞在中、彼がどこでご飯を食べているかというと、
ベジタリアンで、かつ、砂糖や添加物をふくまず調理してくれるレストランで食事する以外は自炊されているそう。

きっと長生きされると思います。

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