ターリー文化とコーヒー文化
こんにちは!
最近は朝晩が冷えるわりに日中は気温が上がるので、外出時の服装に迷われないでしょうか。
わたしたちは、日々迷いながらもいろんな選択をしています。
- 「何、着ていこうか」
- 「お昼、何食べよう?」
というカジュアルなものから…
- 「わたしがやりたいことって何だろう?」
- 「この人生で何を実現できる?」
など人生の大きなテーマまでさまざまです。
一方、わたしたちの「意志力」はかぎられているといいます。
だから、大事な場面で意志の力を使えるように「意志力を省いて温存する」考え方があるそうです。
たとえば、アップルの創始者スティーブ・ジョブズは
毎日、同じ組み合わせの服を着ていたことで知られます。
黒いタートルネックとジーンズだったでしょうか。
同じ組み合わせの服を複数用意し「今日、何着ていこう?」と迷う時間や労力を省いていたのだとか。
「意志の力を省く」…
新しくて先進的な考え方だと思われるでしょうか?
実は、インドでは昔から意志の力を省くように日常が設計されています。
今日はインドと西洋の文化を比較しつつ、選択と意志力について考えてみましょう。
インドの定食「ターリー」文化
インドでは、「ターリー」や「ミールス」とよばれる定食が有名です。
定食(ターリー/ミールス)は基本的に1種類で、メニューはありません。
皆、同じものを食べる仕組みです。
定食の内訳は…
- ごはん
- お漬物
- あっさりしたカレースープ
- 酸味のあるカレー
- 野菜の炒め物
- ヨーグルト
などがセットになっています。
北インドでは「ターリー」、南インドでは「ミールス」とよばれることが多いでしょうか。
定食屋さんに入ると、バナナの葉が「お皿」としてしかれ、その上にごはんやおかずが給仕される仕組みです。
もちろん「もっと多く」「少な目で」など量は調整できるし、塩はセルフサービスが多いですが、「皆同じメニュー」。
意志の力を使って「メニューを選ぶ」必要がありません。
つまり、「今日、何食べようかな?」と悩む必要がないのです。
西洋の「コーヒー」文化
一方で、西洋の文化では、基本的に食べ物も飲み物も個人の好みを重視します。
小さな子どもにも「コーヒーにする?それとも紅茶?」と選択をせまりますよね。
子どもが飲み物を選んだら…
- 「ミルクはどれくらい入れる?」
- 「砂糖は何個?」
と、さらなる選択をもとめます。
つまり、「自分の意志で何かを選ぶ」のを重視する文化といえるでしょう。
スターバックスなどは西洋の文化の象徴ともいえそうです。
カフェラテ1杯を注文するにも…
- ホットかアイスか
- 牛乳か豆乳かオーツミルクか
- 牛乳なら低脂肪乳か無脂肪乳か
- マグカップか紙カップか
など個人の好みで徹底的にカスタマイズします。
意志の力を省力化する
インドを、決まったものが出てきて意志力を使わない「ターリー文化」とすると、
西洋は、細々と選択できる「コーヒー文化」といえるかもしれません。
どちらがいい、悪いではなく…
どちらにもメリットとデメリットがあるでしょう。
日本はどちらかというと西洋の文化に近いから、選べることを快適だと感じる人も多いと思います。
しかし、冒頭でご紹介したように、意志の力は有限なので…
些末なことに悩んで意志力を使うのはもったいないのかもしれません。
忙しいワーキングマザーの知人は、朝食を毎日同じメニューにしていると言っていました。
「メニューを迷う」時間と労力を子どもとの時間に費やしたいからだそうです。
また医師の知人は、下着や靴下をすべて同じ色と形でそろえているのだとか。
同じく、迷う時間や意志力を省くためです。
好きなことで「迷う」「選ぶ」楽しみは大切にしつつ…
自分にとって「それほど重要でない」と感じる場面では、意志力を使わない工夫をしてみてもいいかもしれません。
意志の力に余白ができると、本質的なことに取りくめたり、大切な意思決定をする場面で力を発揮できるはずです。