「四毒」と油の話

こんにちは!
最近、「四毒」という言葉を耳にします。
仏教用語の「四毒」ではなく、食べ物の話ですね。
歯科医師の吉野敏明先生が提唱されていて、
「4つの毒」である…
- 小麦
- 乳製品
- 植物油
- 砂糖
を断つ健康法だと聞きます。
「毒」という言葉が印象に残りやすいですし、
「四毒抜きの食生活」というと目新しく聞こえたりしますが…
要は「伝統的な日本の食生活がいい」という内容だと理解しています。
上記の4つの食べ物は、もともと日本人が常食してきたものではないからです。
常食していない「珍しい食べ物」だから、消化がしづらいのは当然。
アーユルヴェーダ的な考え方でいけば、消化できなかった未消化物が体内に残り、やがて毒素になります。
とはいえ、上記の4つのうちで「植物油」は盲点ではないでしょうか。
小麦や乳製品・砂糖に関しては、ネガティブキャンペーンがたくさんありました。
一方で、植物油は「わりといいもの」というイメージがあると思います。
今日は植物油など「油脂」を考えてみましょう。
油を消化できない日本人

日本人が「油」を食用に使うようになったのは、実は近代になってからのようです。
江戸時代以前は、主に油は「灯り」として利用する分しか供給量がなく…
庶民が日常的に油を使った料理を楽しむ機会はなかったのだとか。
では、昔の日本人が脂質をどのように摂取してきたかというと、
玄米や大豆・ゴマ・魚の脂などからとりいれていたようです。
つまり、精製した油をたくさん摂取する習慣がなかったのですね。
この話を聞いて、わたしは「なるほど!」と腑に落ちる思いがしました。
というのも、これまでに「油を消化しづらい」と感じる機会があったからです。
特にインドに滞在しているときに、そのように感じたでしょうか。
ご存じの方も多いと思いますが、インド料理は油をふんだんに使います。

インドカレーは高温に熱した油にスパイスを投入して、旨味を出すのが基本。
油の量は和食の比ではありません。
毎食のように大量の油が使われていると、最初はおいしく感じるものの、
長く滞在するにつれて、胸やけしてきます。
もちろん、個人差はあるという前提ですが…
わたしたちの先祖が油を大量に食べる習慣がなかったとしたら、
消化能力が追いついていなくても、不思議ではないと思うのです。
アーユルヴェーダのドクターともめた話

余談になりますが、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」の治療を受けた際に、
療養食の「油」の量をめぐって、現地のドクターともめたことがあります。
わたしが「食事に油が多くて、全然ヘルシーじゃない」とクレームを入れたら、
アーユルヴェーダのドクターがショックを受けてしまったのです。
アーユルヴェーダの療養食は、市井のインド料理よりも油が控えめなのですが、
和食の感覚からいうと、それでも「油が多い」。
つまり、ドクターの感覚では「油は少量しか使っていない」一方で、
わたしからすると「多すぎて、胸やけする」状態だったわけです。
インド人だと問題なく消化できる油の量でも、
日本人だと厳しいのでは?…と感じるとともに、
油の量が「多い」「少ない」という感覚は
文化によってかなり違うのだと実感しました。
もちろん、わたしが日本人を代表しているわけではありませんが、
「毎食、油料理」が長期的に続くと、胸やけする人はいらっしゃると思います。
そして、近代以前の日本に油を使った料理がほとんど存在しなかった…と考えると、
わたしたちは、日常的に油をたくさん使う必要はないかもなあと感じますね。
脂質は大切。
でも、量や質をよく考えて摂取したいですね。