「正常性バイアス」と受診の必要性
こんにちは!
みなさん、「正常性バイアス」という言葉をご存じでしょうか。
「正常性バイアス」とは
自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする認知の特性のこと。
災害時に「異常」を気づきながらも、「まだ大丈夫」と過小評価して逃げ遅れてしまう例がよく知られています。
でも、これは災害にかかわらず、日常生活でもよくあること。
「何かおかしい」と思っても、「まあ大丈夫だろう」とやり過ごしてしまう…。
わたしたちは、そうとらえがちです。
なぜなら、「正常性バイアス」は、わたしたち人間が日常生活のさまざまな変化や新しい出来事にたいして、心が過剰に反応し疲弊しないために必要なはたらき。
心の「防御システム」ともいえます。
今回は、わたしが甲状腺の病気になり、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」の治療で寛解した話の中から、この「正常性バイアス」がはたらいて病気に気づけなかった話をしたいと思います。
心を守る仕組みでありながら、デメリットもある「正常性バイアス」。
みなさんも、もし心身に異常を感じられたら、気軽に病院を受診してみてください。
「正常性バイアス」で体調不良を過小評価
前回お話ししたように、わたしは婦人科で受けた血液検査から異常を指摘され、甲状腺専門の病院で再検査のうえ「バセドウ病」と診断を受けました。
つまり、甲状腺の病気をうたがって受診したのではなく、婦人科の血液検査のなかに甲状腺に関する項目がふくまれていて、たまたま異常がみつかっただけ。
大きな自覚症状はなかったのです。
とはいえ、実は診断されるまでの数年間ほど、いくつか異常を感じていました。
たとえば
- 飛行機にのると動悸がする
- 暑くて眠れない
- 感情が不安定
などです。
コロナ前は国内外を問わず、飛行機を利用することが多かったので、搭乗は慣れていました。
「飛行機にのると動悸がする」のは変だなあと思いつつ、「最近疲れ気味なのかな?」とあまり気にとめなかったです。
「暑くて眠れない」のも、よく考えると変でした。
エアコンをつけた部屋で寝ているのに、ベッドが「熱い」と感じて熟睡できなくなっていたのです。
「冷たく感じるシーツ」みたいなのも試しましたが、全く効果がなく、ひんやりした感覚を味わうために、床に直接寝転がって眠るようになっていました。
なんか、変ですよね…?
しかし、ちょうど引っ越した頃だったので、
「建物の構造上、熱がこもりやすいのかな」
「この地域は東京より暑いのかも~」
と片づけていました。
もともと「暑がり」なこともあり、あまり気にとめなかったのです。
「感情が不安定」と感じたときも、「生理前だからかね~」と、これまた軽くスルーしていました。
まさに「正常性バイアス」。
本当は「異常」なのに、「正常の範囲内」として処理し、病気の可能性はまったく疑わなかったのです。
心身に異常を感じたら、病院で検査
あたり前ですが、同じ病気でも、症状のあらわれ方や感じ方は、人によって異なります。
たとえば、バセドウ病のよくある症状はこんな感じです。
・疲れやすい、倦怠感
・動悸
・手指がふるえる
・甲状腺腫(甲状腺がはれること)
・眼球突出
・多汗
・体重減少
・精神不安定、不眠
・食欲UP
・暑がり
・便通の異常(軟便、下痢など)
伊藤病院のWebサイトより引用
わたしは「動悸」、「暑がり」、「精神不安定、不眠」が該当していたわけですが、その他の症状はあてはまりませんでした。
体重はむしろ増えていた…!
比較的若い世代では、甲状腺機能の異常で食欲が上がり、体重が増えることもあるそうです。
診断を受けたときに、
「言われてみれば、あてはまる症状があるけど、病気だとは思わなかった」
とお医者さんに話したら、
・そういう人が多い
・早期に治療するためにも、はやく検査にきてほしい
とおっしゃっていました。
今回ご紹介したバセドウ病の症状は、「不定愁訴」で片づけてしまいがちなものも多いように思います。
実際、甲状腺の病気は、「病気」の状態なのに「診断」されていなかったり、「治療」されていないケースが多いのだとか。
甲状腺疾患の罹患数は500~700万人で、そのうち治療が必要な患者は約240万人と推計されます)。
しかしながら、実際に治療を受けているのは厚生労働省平成26年患者調査(平成26年10月単月)で約45万人と報告されており、未治療の患者が多く存在しているのが現状です。
一般社団法人 甲状腺学会のWebサイトより引用
わたしの場合は、たまたま婦人科の検査でみつかってよかったです。
みなさんももし何か心身に異常があれば、ぜひ病院で検査されることをおすすめします。
なにもなければ安心材料になりますし、何か病気がみつかったら、早めに対処ができます。
というわけで、今日は
- わたしたちには「正常性バイアス」という「心を守る仕組み」がある
- それにより、心身の「異常」を過小評価せず、受診することが大切
というお話をさせていただきました。
ご参考になれば幸いです。